仕事がら、管理会計を提案することがよくあるのだが、管理会計の方法として予算管理だけでは味気ない。
業績向上のためには、社員個々人の行動指標が必要になる。
それには予算だけではなく、流行のバランス・スコアカードが有効なようだ。
バランス・スコアカードとは、企業の業績評価を財務、顧客、社内の業務プロセス、社員の学習と成長の4つの指標から計測する考え方だ。
通常企業の目標となっている財務目標を実現するには、顧客満足度向上、社内業務プロセスの革新・効率化、社員の学習と成長の促進という階層的な目標管理が必要であるとしている。
財務の視点だけだと、結果に対して、各社員がどのようなアクションを起こせば良いのか、判断が難しい。
また、将来への投資となる企業の基盤強化の実現度合いが管理出来ない。
このような問題を解決するのが、バランス・スコアカードである。
理論としてはわかるし、とても美しい考え方だと思うが、実例がないとにわかには信じられない。
この本の中では、著者の長年の経験から、豊富な指標事例と企業への導入例が紹介されている。
やはり、企業付加価値額(EVA)などのテクニカルな財務指標はわかりにくい。
バランス・スコアカードを利用して、戦略志向の組織に変革するには、以下の5原則が必要だとしている。
・戦略を現場の言葉に置き換える。
・組織を戦略に方向づける。
・戦略を全社員の日々の業務に落とし込む。
・エグゼクティブのリーダーシップを通じて変革を促す。
また、指標が組織・個人の報酬に連動させることが必須だという。
業績評価指標の設計・導入プロジェクトにおいて遵守すべき「SMART」の原則が紹介されている。
Specific(具体的な指標)
Measurable(定量的に測定できる指標)
Agrees(合意された指標)
Realistic(現実的に達成可能な指標)
Time-bound(目標達成時期が明確に示された指標)
指標の数は、運用を考えると4~5が望ましいとのことである。
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