薪の結婚

薪の結婚 (創元推理文庫)翻訳した小説を読んでいて言うのもなんだが、ジョナサン・キャロルの文章は美しいと思う。
私の知る限り、このように小説を書く作家は、ポール・オースターしかいない。
そのキャロルによる久々の新作である。

「結局のところ、わたしたち一人一人に、語るべき唯一の物語がある。ところがその物語を生きてきたというのに、おおかたの人間は語る勇気がなく、どう語ったらよいかもわからないのだ。
こんなに長く生きてきたのは、ようやく人生について語れるようになった今、うそを並べるためではない」

上記の書き出しで小説は始まる。
心地よく小説の世界へ引き込む、巧い文章である。

小説の前半は、30代の女性が素敵な中年男性と出会い、妻子のある彼と恋に落ち、一緒に暮らし始めるというハーレクインロマンのような内容である。
普通なら、まず読まない分野の話だが、キャロルの文章だから読み進めることが出来る。

後半は、一気にダークファンタジーになる。
最終的には、不死人ヴァンパイアの話になるのだが、ダークファンタジーのネタとしては、たいしたことはない。

キャロルの小説は、その文章力と雰囲気がすべてであって、アイディアやストーリーはどうでも良い。
その証拠に、むかし読んだキャロルの小説は、内容を全然覚えていない。

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