安楽死を提供する通称ドクター・デスが、自ら考案した安楽死装置で惨殺された。
ロス市警のマイロの依頼で、臨床心理医のアレックスは犯人を追う。
ジョナサン・ケラーマンの臨床心理医アレックス・シリーズも、ちょっと目を離した隙に、20冊にも達していた。
本書は、その14冊目の作品である。
もともと児童虐待がテーマの暗い話が多かったが、本書でも幾つかの家庭の崩壊が背景にあり、やはり救われない。
華やかなロスの生活と、その裏にあるアメリカの病んだ部分が克明に描かれている。
そんな中、アレックスとその恋人の健全な生活が救いである。
アレックスの相棒であるマイロ刑事が、実はゲイであるのも、現代アメリカ的である。
事件の全容はなかなか解明されず、思ってもいなかった人物が犯人である辺りは、やはり優秀なミステリーである。
しかし、最後に明かされるもうひとつの事件の犯人と動機は、さらに意外であり、救いがない。
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