メリーゴーランド

メリーゴーランド (新潮文庫)東京の会社を辞めて故郷の市役所に勤めていた啓一は、赤字テーマパークの再建プロジェクトに出向になった。
8年間自分を殺して、公務員としてのんびり生活していた啓一は、テーマパークを立て直すため、まわりに翻弄されながらも頑張ることになる。

気弱だった主人公が、子供に恥じない仕事をするために、奮戦する物語である。
目新しいテーマではない。

啓一がかって所属していた劇団の、才能はあるが変人の座長とエキセントリックな劇団員たち、宮大工修行中の元ヤンキー軍団など、個性あふれるキャラクターは多い。
しかし、それよりもファンタスティックなのは、市役所及びそのOBの面々である。
金銭感覚と常識の無さは、まさに異星人である。

一般的なサクセスストーリーと違い、最後は少し悲しい。
啓一も市長の権力争いに巻き込まれてしまう。
良さそうに見えた市長も、先進的な女性知識人も、権力を求めているだけに思える。
人間の世界に正義はないのか、と思わせる終わり方だった。

[amazonjs asin=”4101230331″ locale=”JP” title=”メリーゴーランド (新潮文庫)”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です