白魔

白魔 (光文社古典新訳文庫)個人的に実施している「古典を見直そうキャンペーン」の第2弾はアーサー・マッケンである。
忘れていたが、幻想文学の巨匠マッケインは、かなりカッタルイ文章を書く人だった。
この作品も例外ではなかった。

読んでいる時はなかなか状況がイメージ出来ない、なにを描きたいのかよくわからない、というのは幻想文学ではよくあることだ。
マッケインもその傾向がある。
「生活のかけら」を読んでいると、奥さんのメイドに対する愚痴など聞きたくない、と思ってしまう。
「渡る世間は・・・」みたいに、日常的な問題にフィクションの中でまで関わりたくないのだ。
しかし、後半になると、日常が非日常に浸食されていく。

この作品集に共通するのは、ダークサイドへの傾倒である。
それもラブクラフトのように恐怖だけを描くのではなく、古の神々への憧れも含んでいる。
読み易くはないが、心に残る作品集である。

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