火怨

火怨 上 北の燿星アテルイ (講談社文庫)インターネットラジオ「くりらじ」の局長BJ推薦の熱い男の歴史ロマンである。
古代日本での蝦夷軍の戦いが描かれている。
泣かせる。

日本は単一民族で、民族紛争や差別がないと思っていた。
しかし、古代の日本では、先住民族である蝦夷の民を、朝廷が迫害し、居住地を奪っていた。
この小説は、侵略戦争をしかける朝廷に対し、徹底抗戦する蝦夷の姿を、主に蝦夷側の視点で描いている。

基本的に朝廷側が悪く、朝廷側の将軍はほとんどマヌケである。
蝦夷の住む地域に金山が発見され、大仏建造に金が必要だった朝廷は、蝦夷を支配しようと目論む。
また、蝦夷を敵として民衆を洗脳することで、政府に対する不満のはけ口にしようとする。
このような政治的手法は、現代もあまり変わっていない。

朝廷の侵略に対し、部族毎にバラバラだった蝦夷は、民族の生き残りをかけて結束する。
朝廷は蝦夷を獣と変わらぬ劣った部族と思っていたが、蝦夷側の地形を活かした知略により敗退していく。

そこで坂上田村麻呂が登場する。
学校でも習った征夷大将軍の登場で、いよいよ蝦夷も終わりかと思ったが、そうでもなかった。
結局、20年に渡り、朝廷側が勝つことはほとんどない。
一方的な勝負では、小説としてもいまひとつ面白くない。

しかし、20年に渡る戦争に疲れた蝦夷の総大将アテルは、蝦夷の子供たちの将来のため、ある計画を実行する。
それは、勝つために負けるという、とてつもない作戦である。
最後は、涙無くしては読めない展開である。

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