心霊探偵八雲 絆

心霊探偵八雲  SECRET FILES 絆 (角川文庫)「心霊探偵八雲」シリーズの番外編。
中学生の時の八雲の活躍が描かれている。
学校の木と公園の池に現れる幽霊の2つの悲しい物語である。
本編より話がまとまっていて面白い。
単に作者が上手くなってきただけかもしれない。

赤い片目で幽霊が見える心霊探偵八雲。
母親に殺されそうになった直後の、中学生の時の2つの物語が、叔父と刑事から語られる。

ひとつは八雲の中学校での幽霊の話である。
肝試しで赤ん坊の幽霊が女子中学生の取り憑く。
そこには八雲を受け入れてくれた先生の秘められた過去が関係していた。

もうひとつは、公園の池で人を呪い殺すという少女の幽霊の話。
いやいや事件の捜査に参加した八雲は、「幽霊には実体がない。人を殺すことは出来ない」と言う。

どちらも悲しい物語である。
幽霊が怖いのではなく、人間の業こそが恐ろしい。

本編よりも、読み易く、素直に楽しめた。
このシリーズは、「マンガみたいな感じだ。わざわざ小説にする必要もないだろうに」と思っていたが、本書ではそんな印象はなかった。
作者が上手くなって来ているのかもしれない。

個人的には、エピローグが気に入っている。
中学時代八雲に憧れていた女の子は、当時彼の赤い瞳に脅えてしまった。
その彼女が、偽の心霊写真を作ってまで八雲に相談に来る。
その時に彼女が、ヒロインの晴香に八雲の眼のことを尋ねると、
「知っています。綺麗な瞳ですよね」
と答える。
そこに2人の違いがあった。

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