夜がはじまるとき

夜がはじまるとき (文春文庫)キングの短編集はヘンな話が多い。
世界的に有名な作家になっても、ヘンテコリンな小説を書き続けるキングは素敵だ。
この短編集にも、とてつもなくクダらない話が含まれている。
しかし、キングが描くと、とても面白く、そして気持ち悪くなる。

この作品集で秀逸なのは、何といっても「N」と「どんづまりの窮地」である。

「N」は、クトゥールー神話系の恐怖小説である。
主人公のカウンセラーは、脅迫神経症の患者から、異世界の侵入を防ぐために、常に数え、偶数にし、触り、存在を確かめている、と聞く。
患者が自殺した後に、カウンセラーがその世界にハマっている。

クトゥールー系では、古典的展開である。
しかし、強迫神経症を絡めたあたりは、さすがキングだ。
執拗な繰り返しが、小説として、とても面白い仕上がりとなっている。
読んだ後に、とりあえず数を数えたくなる。

「どんづまりの窮地」は、復讐のために簡易トイレに閉じこめられた男の苦闘を描いている。
ただ、それだけの話である。
ところが、キングの表現力をもってすると、果てしなく気持ちの悪い物語になる。
「ミザリー」は痛かったが、この短編は気持ちが悪い。
迫り来る糞尿の恐怖!
食事前には、読まない方が良い。

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