イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)「チーム・バチスタ」から続く医療ミステリーシリーズの最新作。
今回のテーマは、検死である。
作者が本当に描きたかったテーマなのだろう。

今回は、シリーズのメインストリームなので、主人公は昼行灯の田口で、ロジカル・モンスター白鳥とのコンビは健在である。
しかし、日本における検死とAI(CTよる死体調査)というテーマを前面に出した、教養小説になっている気がする。
いつものメンバーの掛け合いや官僚組織の異常さを楽しみながら、日本における検死の問題とAIの有用性が理解出来る。
日本の検死解剖は、2%しか行われていないのは驚きである。

行政と司法の無能が、医療を追い込んでいる、という。
「国家が滅んでも、医療は生き残るべきだ」と作中でゲリラが叫ぶ。
考えてみれば、当たり前の話だ。
歴史的に見ると、国家は数年で滅ぶが、医療が滅んだことはない。

解説を読むと、実際に国会議員が海堂尊の小説に影響されて活動している。
これも小説の力である。

田口の大学の後輩フィクサー・ヒコネは、スゴすぎだろう!と思うが、最後にゲリラを落とし所に誘導した白鳥も流石である。
各省庁で活躍する白鳥の大学時代の友人が結束しそうなので、今後の展開が楽しみである。

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