楽園

楽園 上 (文春文庫)「模倣犯」に登場した女性ライターのその後を描いた作品である。
交通事故で死んだサイコメトラー能力を持つ少年の謎を追ううちに、もうひとつの家族の隠された秘密を暴くことになる。

宮部みゆきが追求するテーマのひとつである、被害者と加害者の家族についての作品なのだろう。
しかし、物語がどこに向かって行くかわからず、途中ハラハラする。
サイコメトラーの少年は死んでいるので、その能力の証明は難しい。
そして、証明したところで、母親が救われるわけではない。
途中、両親が娘を殺した家族が絡んできて、ますます方向性がわからなくなった。

しかし、面白くないわけではない。
平凡そうな家族の秘密が、スリリングに暴かれていく。
普通の人の、ちょっとした悪意の怖さを描かせたら、宮部みゆきにかなう人は、なかなかいないだろう。

スティーヴン・キングが大好きな宮部みゆきの作品で、超能力が出てくるのは、何の違和感もない。
出来れば、初期の作品のように、派手で、分かりやすい超能力モノを、また書いて欲しいものだ。

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