「鴨川ホルモー」の作者の2作目である。
今度の舞台は奈良。
オニは出ないが、鹿と狐と鼠に主人公が翻弄される。
読んでいる時はあまり面白いと感じなかったが、後から思い返すと楽しかったような気がしてきた。
研究室で精神衰弱のレッテルを貼られた主人公は、研究室を追われ、奈良の女子高に赴任するハメになった。
女子高生の扱いに戸惑っていた彼は、人間の言葉を話す鹿から、あるものの運び屋に任命される。
古代から伝わるその宝を無事に受け取り、鹿に渡さないと日本が滅んでしまうという。
かくして「サンカク」と言われる宝を巡って、鹿と狐と鼠の不思議な争奪戦が始まる。
日本の古代史を扱った伝奇小説であり、剣道のスポコンであり、青春小説でもある。
ついでにTVドラマ化された「鹿男あをによし」を借りて観て驚いた。
主人公の友人になる通称「かりん糖」が女性になっていたのだ。
どうやら主人公と「かりん糖」のラブコメに発展しそうな雰囲気である。
TVドラマとしてはアリだと思うが、原作では「かりん糖兄弟」と生徒から呼ばれていたのを知っていると、複雑な心境である。
小説を読んでいる時は軽く流していた設定が、TVドラマで観ると、とても面白く感じる。
イメージを作るのが上手い作家なのかもしれない。
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