武士道シックスティーン

武士道シックスティーン (文春文庫)珍しい、女子を主人公にしたスポコンである。
幼い時から剣道一筋で宮本武蔵を敬愛する磯山と、おっとりとした西荻という対象的な二人の友情を描いた爽やかな作品である。

まず磯山が凄い。
「親に会えば、親を斬る」と、宮本武蔵そのままの姿勢で生きている。
全てを勝ち負けで捉え、勝つためにはあらゆる犠牲を惜しまない。
現代に存在する人間とは思えない女子高生である。

かたや西荻は、中学になって日本舞踊から転向して来た変わり種である。
勝ち負けを嫌い、剣道においても、楽しむことを最優先としている。
おっとりしているが、天然の無心とも言える。

そんな西荻が磯山に勝ってしまうことから物語は始まる。
磯山は西荻を追って、西荻の居る高校に入学するが、不甲斐ない西荻に怒りまくる。

二人は時にぶつかり合い、イヤほとんどぶつかってばかりいるが、やがて親友になる。
剣道に疑問を持ち、無気力になってしまった磯山を、西荻が強引に救い出すあたりは泣ける。
家出した西荻のダメダメな父親も、「勝ち負けではなく、好きでなければ続けられない」となかなかいいことを言う。

続編が読みたい。
文庫落ちを待ち切れるだろうか。

ちなみに、映画にもなった。

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