小太郎の左腕

小太郎の左腕 (小学館文庫 わ 10-3)「のぼうの城」の作者による新作である。
今回は戦国の武将と鉄砲打ちの天才少年の物語である。
やはり上手い。

地方の豪族たちがしのぎを削り合っている戦国時代、林半右衛門は豪快な武将だった。
戦場においては負け知らずで、卑怯者なことをことをなにより嫌い、別け隔てがないので町人の受けもいい。
いい漢なのだ。

その半右衛門が、鉄砲打ちの天才少年小太郎と出会う。
小太郎は、戦場で利用されないように育ての親から隠されて暮らしていた。
子どものように純真な小太郎の本性を知り、半右衛門は戦場での利用を諦めた。
しかし、籠城が長引き、餓えのため兵たちが人肉を食べる状況に追い詰められ、半右衛門は決断をしなければならなくなった。

一本気の漢が、自分の主義を曲げて挫折し、また再生する物語である。
悲劇ではあるが、読後感は爽やかだ。

[amazonjs asin=”4094086420″ locale=”JP” title=”小太郎の左腕 (小学館文庫 わ 10-3)”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です