月3万円ビジネス

月3万円ビジネス月3万円では生活出来ないだろう?と、まず思う。
月3万円でも、10個集めれば30万円である。
理屈の上ではそうでも、そんなにうまくいくはずがない、と普通は思う。
それに対して、著者は圧倒的な事例数で応えている。
なかなか気づきの多い本だった。

なぜ「月3万円」か?
「月3万円」のビジネスに大手は参入しようと考えないので競争が起こらない。
グローバル化の波に巻き込まれず、いいことで楽しく稼ぐ「分かち合いのビジネス」が実現出来るのがこのサイズのビジネスだ、というのが著者の主張である。

通常の競争ビジネスにおいて、人々は支出の多い生活を支えるために稼いでいる。
それに対して、「月3万円ビジネス」では、支出の少ない生活を愉しむことに力を注ぐ。
可能な範囲で必要なモノを自分で作り、愉しむ。
場合によっては、作ったモノや作るノウハウを売って商売にする。
これはとても共感する考え方である。
コントロールの難しい収入を上げることばかり考えて、自分でコントロールし易い支出の削減を考えない人が多い。

商品つくりには、「潜在的な強い欲求」に「感動的な商品」をプラスする。
まずは、100人中3人が感動するあたりを狙う。
「ワークショップ」をビジネスにする場合も、一番大切なことは「愉しさ」である。
「モノが上手くできさえすればいいだろう」ではなく、愉しさの演出に注力すべきである。

「月3万円ビジネス」はコストをかけない。
たとえばB&Bの場合でも、田舎の安い土地にワークショップで宿泊施設を建てる。
借金がないので、月2回の営業でも問題がない。
これが借金を返すとなると稼働率を上げなければならず、営業活動を頑張って疲れ果てる恐れがある。
また、都会では成立しないビジネスも、コストの低い田舎ならば実現出来る可能性がある。

「月3万円ビジネス」でワークショップを実施する場合、年に36人くらいの参加者が簡単に集まる魅力的なテーマと手頃な参加費用の設定がポイントになる。
しかし、年間36人で良いのならば、かなりマニアックなテーマでも集客可能な気がする。
このように目標を低く設定すれば、小さなアイディアを手軽にテスト出来る。

グローバリズムに対抗する唯一の手段は、「有機化」だという。
いままでに分断されたヒト・モノ・コトを繋ぎ直す。
例えば生産者と消費者の関係を相対的なものから融合的なものに変える。
消費者が生産活動に参加することで、生産者と消費者の間に持続的な関係が生まれる。
経営者と従業員の関係を融合化することも考えられる。
農業を学びたい若者は労働力を提供し、有機農家は3食寝泊まりをタダで提供する。
有機農家は労働力が必要だが給料を払う余裕無い。
農業を学びたい若者は、授業料や食事代・宿泊費を払う余裕が無い。
そこで、「持ちつ持たれつ」の関係が成り立つ。

生活分野を衣・食・住・エネルギー・安全健康・娯楽・教育・情報・交通の9つのカテゴリーに分けると、家庭の支出は全て網羅出来る。
9つのカテゴリー毎に、国レベル・地域レベル・家庭レベルの3つの自給率を入れる(根拠は想像でもいい)。
現在と「かくあるべし」という理想の自給率を入れ、そのギャップに注目する。
9つのカテゴリーを100以上に細分化して自給を促すビジネスのテーマを考える。
家庭内の自給を高めるビジネスでは、道具、材料、ノウハウ、仲間、きっかけをセットで与える。
するとテコでも動かなかったオジサンでも動き出す。
中でも一番重要なのは、仲間である。
そして、材料で継続的に稼ぐ。
そこでは、「愉しさの持続」を提供することが必要になる。

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