本作は、 リンカーン・ライム・シリーズからスピンアウトした「歩く嘘発見器」キャサリン・ダンス・シリーズの第1作である。
投獄されていたカルト集団のボス・ペルは、ダンスの尋問の後、脱獄に成功する。
人をコントロールする天才ペルと、人を見抜く天才ダンスの息詰まる心理戦が始まる。
ディーヴァーはどんでん返しの職人である。
読者もその心構えで彼の本に挑む。
それでも毎回驚かされてしまう。
本当にたいしたものだと思う。
本作でも、意外な方向からどんでん返しをくらった。
前半は少しペースがゆっくりな気がする。
しかし、それだけ緻密に書きこまれているとも言える。
ペルの考え方、人をコントロールする手法の説明に多くのページを費やしている。
ダンスの尋問の科学的手法(キネシクス)と並んで、興味深い。
犯人側の描写が多く、人間的な印象を受ける。
凶悪犯に慣れた現代の読者には、少し物足りない気さえして来る。
それは、ディーヴァーの術中におちているいるからだ。
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