社会人になってから初めての縦走である。
三泊四日のうち二泊はテント泊なので、荷物も重い。
重い荷物で3,000メートル超えの北岳を含む南アルプスを攻められるか不安はあった。
けれども、とても疲れはしたが、天気に恵まれ、景色と高山植物を満喫した登山となった。
奈良田温泉のバス停に車を駐車して、そこからバスで広河原に向かう。
広河原は何度か使っている登り口なので、懐かしい感じもする。
客引きと思われるオッサンに、今日は白根御池小屋までだと予定を伝えると、それは年寄りのコースだと言われてしまった。
荷物も重いし、今回は高山植物を観察しながら、ゆっくり大人の登山を愉しむのだ、と仲間内で納得し合う。
確かに白根御池小屋にはあっという間に到着した。
テントを設営すると、まずは生ビール。
これがあるから山小屋は嬉しい。
初日の夕食は豪華にデミグラスハンバーグ。
個人的には、今回のテーマのひとつはオシャレな山食である。
フライパンにアルファ米とハンバーグを盛り付けると、ちょっとしたワンプレートランチの出来上がり。
食べたら寝る。
今回の縦走ではよく寝た。
日が暮れる前に夕食を済ませて、夜明け前に目覚める生活だった。
目をつぶっているだけで熟睡していない時間もあったが、10時間近く寝床に入っていたおかげで疲れはあまり残らなかった。
初日の朝食はホットケーキ。
地元の公園で練習したので、そこそこ腕が上がった、と思う。
でも、出来上がったホットケーキを置く皿を持って来なかったのは不覚だった。
何事も勉強である。
白根御池小屋を出発すると、いきなり草スベリの急登である。
キツイ登りだが、様々な種類の高山植物が楽しめた。
今回の登山は、いままでの登山の中で一番よく高山植物を観察出来た。
高山植物は被写体として面白く、いいアングルを探しながら登ると、疲れを少しは忘れる。
北岳肩ノ小屋を経て北岳山頂に到着。
山頂がガスった以外は良い天気だった。
前回北岳に登った時は、3,000メートルを越えると判断力が鈍くなったものだが、一泊して高度順化したのか全く問題は無かった。
北岳を下り始めると、雷鳥の親子に遭遇した。
人間を恐れず、かなり近くまで寄ってくる。
しかし、岩と同じ色の保護色になっているので、判別しづらい。
肉眼ならともかく、カメラの液晶を通して見ると、全然わからなくなってしまう。
子供たちは、数匹で砂浴びを始めて、とても愛らしい。
北岳山荘で無事に別行動だったメンバーと合流。
北岳山荘ではテントではなく、山小屋泊である。
寝るスペースも予想より広く、メンバー4人が固まっているので、気分が楽である。
どちらにしても、夕食を食べて、すぐに寝る。
朝5時前に朝食を食べて出発。
今日も天気が良い。
富士山と朝日が美しい。
3日目は北岳山荘から間ノ岳、農鳥小屋、農鳥岳を経て大門沢小屋まで向かう尾根を中心とした縦走である。
最高峰の北岳はクリアしたのだから、後は楽勝だと思っていたがとんでもなかった。
数百メートル下っては、数百メートル上る行程は、精神的ダメージが大きい。
どうせまた上がるのだから、橋でもかけておいて欲しくなる。
また、大門沢小屋手前の下りは、道というより干上がった川のような酷い有り様だった。
大門沢小屋でのテント泊は4人になってしまったので、荷物がテントの中に入りきらず、ツェルトを立てて荷物置場にした。
夕食のパスタは茹でる時に塩を入れ過ぎて、かなりしょっぱいモノになってしまった。
それでも、フライパンの中にフランスパンと一緒に入れれば、ビジュアル的にはOKである。
今回購入したフライパンは、お皿としてかなり優秀である。
最後の朝食は、焼いたフランスパンにツナマヨネーズ。
残念ながらツナマヨネーズがパンと同じ色なのでよく分からない。
次回は、色合いも考えて材料を用意しよう。
最後は3時間半ばかり、ひたすら下る。
腿には辛いが、丸太橋や吊り橋、コケやシダの森などバラエティに富んでいて楽しかった。
登山後恒例の温泉は「湯島の湯」。
500円とは思えないハイクオリティと長閑さで、とても満足した。
ただ、日焼けが酷くて腕は湯船に入れられなかった。
以下は今回の高山植物ハンティングの収穫。
事典を見ても、ひとつも名前が分からなかった。
この道も奥が深い。