ヨーロッパの電力網がテロリストに襲われるパニック小説である。
東日本大震災の後では、とてもリアルに感じられる小説だった。
ヨーロッパに配備されつつあるスマートメーターをハッキングするという、タイムリーなネタである。
ハッキングの方法はなかなかリアルである。
小説や映画の中で描かれるコンピュータ技術は荒唐無稽なことが多いが、この小説ではそこそこ説得力のある描き方をしていた。
電気の失われた生活の恐ろしさが良く描かれている。
トイレの水が流せないことから始まり、食料品の物流が止まり、病人は安楽死させるしかなく、追い剥ぎが日常化していく。
ディケンズの小説の中の世界のようだ。
たった数日電気が無くなるだけで、このような世界に戻ってしまう。
無力な市民側と、国家を運営する側の両方の視点で描くことで、生活感と網羅性も持っている。
登場人物が多い上に、ヨーロッパの知らない地名が舞台なので最初は混乱する。
しかし、誰が中心人物かわかってくるに従い、読み易くなる。
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