やる気の科学

ヤル気の科学―行動経済学が教える成功の秘訣やるべきだけど出来ないことの実行について、「コミットメント契約」で実現する方法が解説されている。
どうも書き方に違和感があると思ったら、著者の本業は心理学者ではなく、法律関係の経済学者だった。
この理論に基づいたシステムを、本当に立ち上げてしまうところがいい。

コミットメントによって、なかなか出来ないことを実行するのは、古典的とも言える手法である。
しかし、この本では、コミットメントのタイミングや方法などを、豊富な事例で解説しているのが新しい。
更に、誰でもコミットメントが出来るサイトを立ち上げ、事業にまでしている。

コミットメントについて、第3者に審判役をしてもらう、という発想が面白い。
いかにも法律関係の人間の考え方である。
インターネット時代の現在では、メールを使えば簡単に実現出来る仕組みである。

心理学と言うよりも行動経済学の本であり、その分野の事例が多く興味深い。

1年後にリンゴ1個と1年と1日後にリンゴ2個
という選択だと誰もが後者を選ぶ、しかし、
今日のリンゴ1個と明日のリンゴ2個
だと、今日の方がいいという。
日が近づくにつれて、人々はどこかで選考を逆転させてしまう。
これを行動経済学で「双曲割引」という。

でも人々の取引意思に関する簡単な実験を見ると、インセンティブ効果でも損失のほうが利益よりも大きく見えるらしいことがわかる。
実は、2倍くらい大きく見えるのだ。

社会科学理論の事業化という面では、とても参考になる本だった。

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