大ヒットした「精霊の守り人」シリーズの外伝である。
4つの短編で、バルサとタンダの若き日々が語らせる。
上橋菜穂子の世界構築の緻密さと描写力に驚かされる。
まず驚いたのは、バルサとタンダの年齢の違いである。
本編では大人だったので気にならなかったが、子どもの頃の数歳違いは大きく、姉と弟のような関係だったようだ。
ファンタジーであるにも関わらず、本当に存在する世界のようにタンダの住む農村や、放浪の用心棒としてのバルサの生活が描かれている。
農村や山の風景が目に見えるように美しく、そして懐かしく感じられる。
これだけリアルな世界が構築されているからこそ、バルサやタンダの心情に無理なく共感出来るのだろう。
上橋菜穂子の存在は、日本のファンタジー界にとって、得がたい幸運である。
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