花の鎖

花の鎖 (文春文庫)湊かなえの得意とするところは、日常に潜む「悪意」を描き出すことだと思う。
それは見事で、爽快でさえあるのだが、場合によっては「日常」が全面に出過ぎることがある。
すると、昼メロのようになってしまう。
本作はギリギリのところで、そのラインを回避した。
そして、読み終わった時に、構成の見事さが分かる小説だった。
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極北ラプソディ

極北ラプソディ (朝日文庫)「極北クレイマー」の続編である。
北海道にある破産した地方自治体の病院に派遣された医師今中が、孤軍奮闘して病院立て直しのために戦うのが「極北クレイマー」だった。
颯爽と病院立て直しのプロの世良が現れるところで前作は終わっていた。
その後どうなったか、が本作で語られる。
3人の主人公をキッチリ描くのは、さすが海堂尊である。
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狼王ロボ

狼王ロボ シートン動物記 (シートン動物記) (集英社文庫)「ファーブル昆虫記」が思いのほか、面白かった。
ファーブルと来れば、シートンだろう、とこの本を買った。
けれども、残念ながら「昆虫記」ほどの感動はなかった。
「動物記」で扱われている哺乳類は、人間に近く、その生態が昆虫ほど異質ではなかったのが理由かもしれない。
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