繁栄

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)世の中嫌なことばかりで、将来に希望などない、とマスコミは日々宣伝している。
どう考えても、過去に比べて人びとの生活は向上しているはずだと、常々思っていた。
この本は、そんな楽天的な考えを、多方面の研究結果から全面的に支援してくれる。

人類は、分業と取引によって、日々進歩し、よりよい生活を手に入れた。
そして、今後もその傾向に変わりはない。
これが、この本の主張である「論理的楽観主義」である。

この主張を証明するために、石器時代から現代まで、多種多様な現象とその研究結果を紹介している。
多少我田引水な部分もあるが、全体的には納得出来る主張である。

面白い研究成果が沢山紹介されており、全部を記憶出来ないのが残念である。
特に気に入ったのは、以下の考え方や研究結果である。

読書用の照明を1時間分まかなうのにどれだけ働く必要があるか考えてみることもできる。
今日、平均的な賃金を稼いでる人なら、1秒の半分もかからない。
0.5秒働けば、1時間照明をつけていられる。
1950年に、当時の賃金で白熱電球を1時間つけておくには、8秒働かなければならなかった。
石油ランプを使っていた1880年代だと、15分働く必要がある。
1800年代の樹脂ロウソクだと、6時間以上。
1時間の照明を得るための労働時間は、6時間から0.5秒に減った。
これは43,200倍の進歩だ。

カラハリ砂漠から北極のイヌイット族にいたるまで、現代の狩猟採集民の3分の2がほぼ絶え間なく部族間の戦争状態にあり、87パーセントが毎年戦争を経験していることがわかっている。
夜明けの急襲や小競り合い、駆け引きを戦争と呼ぶのは大げさだが、あまりに頻繁に起きるので、死亡率は高い。
たいてい成人男性の死因の30パーセントほどが殺人だ。
毎年人口の0.5パーセントが戦死するというのが、多くの狩猟採集民社会で標準的だったので、この割合で計算すると20世紀には20億人が戦死していたことになる。

二人の人間のあいだで、首尾よく取引(販売と購入)が成立すれば、双方が恩恵を得るはずだ。
一方だけが得をするのなら、それは搾取であり、生活水準の向上にはまったく貢献しない。
人類の繁栄の歴史は、双方が恩恵を得るノン・ゼロサム取引の再三にわたる発見につきる、とロバート・ライトは主張した。

世界人口が1804年に初めて10億人に達したあと、人類がもう10億人を養う方法を導き出すまでにされに133年かかり、30億人の節目に到達したのは1927年のことだった。
そのあと10億人ずつ増えるのにそれぞれ33年、14年、13年、12年かかっている。
人口増加の加速をものともせず、一人あたりのカロリーで考える世界の食糧供給は劇的に向上した。
現在、10億人が増える速度は落ちてきている。
70億人目の人間が生まれるのは、60億人目の14年後、2013年以降になる。
80億人目はそれから15年後、90億人目はされに26年後になる。
そして現在の公式の予測では、100億人目が生まれることはない。

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