いやはや面白かった!
自分の感性が擦り切れたのではなく、面白いSFは存在したのだと、再確認させてくれた。
ディックのストーリーテーリングと趣味の悪いギャグが満喫出来る短篇集である。
この短篇集には、以下の作品が収録されている。
- パーキー・パッドの日々
- CM地獄
- 不屈の蛙
- あんな目はごめんだ
- 猫と宇宙船
- スパイはだれだ
- 不適応者
- 超能力世界
- ペイチェック
- 変数人間
一発ギャグのような話もいくつかある。
それもかなり趣味が悪い。
売れない時代、ディックはキャットフードを食べていた、という都市伝説を使った自虐ネタまである。
「ペイチェック」では、ポケットの中のガラクタで、主人公が次々と危機を乗り越える。
このガラクタを使って、次はどうやってピンチを切り抜けるのだろうと考えると、久しぶりにワクワクした。
昔話にもあるテーマだが、人間心理の琴線に触れる展開なのだろうか。
「変数人間」では、ワープ航法を開発したが、通常空間への復帰がうまく出来ず、大爆発してしまうことが発見される。
これを逆手に取って、敵の星系を壊滅させるミサイルとして利用することになる。
確かに、これは防ぎようがない。
たまたま過去からタイムスリップして現れた技術者に、この爆弾の完成を依頼するが・・・
このオチは、とても好きだ。
鬱のディックも好きだが、陽気なストーリーテラーのディックも素晴らしい。
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