里山資本主義

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)田舎暮らしも楽しいものだ、という趣旨の本かと思ったが、全然違った。
地方都市、それも林業を主な産業とする過疎地発信の新しい資本主義の提案だった。
この視点はなかなか面白い。

詳しくは本書を読んで欲しいのだが、木材をエネルギーとして利用する方法は、技術の進歩によりCO2の排出も少なく、効率の良いものになっているようだ。
事実、ロシアからの天然ガス輸入に不安を抱くオーストリアは、木材エネルギーの利用にシフトしているようだ。
日本の全てを移行するのは無理だろうが、可能な地方都市が木材にエネルギーを切り替えるだけども、地方が抱えるエネルギー利用の赤字問題が解消する。

ところが、今日ではエネルギー資源はあまりありませんから、この星にある自然が与えてくれるもので私たちは生活しなければなりません。
この思考の大転換こそが真のレボリューション(革命)です。
そうした革命に木材産業はうってつけなのです。森林は管理し育てれば無尽蔵にある資源だからです。
その結果、経済は必然的に国家中心から地域中心になっていきます。
製材業はたいていファミリー企業です。
原料の調達も、せいぜい200〜300キロ圏内でまかなえます。
生産には多くの人手がかかります。
ようするに、木材は、投資が少なくてすむ一方、地域に多くの雇用が発生する、経済的にとても優れた資源なのです。

中央集権的なエネルギー政策もひとつの実験だったのだから、人口構成の変化が確実は今後については、別の試みが必要になってくるのだろう。

農業についても、通常とは違った視点が提示されている。
グローバル競争に勝ち抜けない農作物でも、生産地で消費することで、農作物の輸入による赤字を削減出来るのだ。
そして、人口減少が農耕地の増加と必要なエネルギーの減少という新しい状態を日本にもたらす。

そもそも日本は温暖な気候、豊富な降水量、肥沃な土壌に恵まれた農業適地だが、戦後に人口が8割増する中で、多くの農地を都市開発して建物の下に埋めて来た。しかし今後人口減少によって、それらの農地を不要になった建物の下から復活させることができる。
しかも家庭菜園の増加や田舎への移住者による耕作放棄地の利用促進で、市場には出回らず金銭換算もされないが、実際には有効に消費される農産物も増えていくだろう。

とても面白い視点で書かれた本だと思ったら、ベストセラー「デフレの正体」の著者による新作だった。

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