炭水化物が人類を滅ぼす

炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書)炭水化物さえ摂らなければ、健康に痩せられる!という本である。
巷に溢れる怪しいダイエット本と思いきや、生物のエネルギー取得の歴史まで語る、SFのような解説書だった。
この本を読むと、もう炭水化物は食べられない、かも。

まず、本人の糖質制限ダイエットの体験談から入る。
その発想が、マッド・サイエンティストっぽくて、とてもよろしい。

私はもともと、「外傷の湿潤治療」のインターネットサイトを作っている外科医であり、ダイエットと食事療法なんてあたりから一番遠いところにいる人間だ。傷の治療ばかりしている外科の医者が、なぜ糖質制限の本を書くのか。それは単純に、医学的・科学的に糖質制限が面白いからである。
それは、自分の体を実験台にしてできる人体実験としての面白さであり、自分の体型と体重と体質がみるみる変化する面白さだ。実験開始からわずか数日で体質の変化が自覚できるスピーディーさが、なんとも実験屋魂をくすぐるのだ。

食事に関する角砂糖換算という恐ろしい方法が披露されている。
コーラ355mlで角砂糖10個分の糖分となる。
6枚きりの食パン1枚では8個、白米1膳では14個と聞くと、気持ち悪くて食べられなくなってくる。
デンプンは甘くないから、これだけの糖分を摂取できてしまうらしい。

炭水化物が人間に必須の3大栄養素の1つだというのが、まず疑わしいようだ。
人間には、アミノ酸を材料にブドウ糖を合成するシステムがあるので、必ずしも糖分を外部から摂取する必要はないというのだ。

著者は、糖質が「嗜好品」だと主張している。
本来必要ではないが、一度味わうと、また欲しくなるからだ。

穀物栽培を支える地下水が世界的に枯渇しつつある。
穀物に依存する人類にとって、これは脅威である。
だから、穀物への依存から脱却すべきだと著者は主張している。

そして、農耕が人類を豊かにしたという考えも、幻想にすぎないという仮説を展開する。

しかし、狩猟採集生活に目を転じると、まったく異なる生活風景が広がっている。
現在でもカラハリ砂漠で狩猟採集生活を続けているコイサン民族の研究によると、彼らは週に2日程度しか働かず、1日に10キロ以上歩くこともなく、集団の4割は食料調達の仕事をしていない。
また、1万年前の肥沃な三日月地帯の山地はドングリの森で覆われていたが、人々はわずか3週間で数年分のドングリを収穫でき、ドングリを収穫するのに要する労働力は、コムギやオオムギを収穫するのに要する労働力の10分の1以下だった。
私たちは、穀物のおかげで豊かで健康的に暮らしていると信じてきた。だからこそ、多くの民族や文化では、穀物を神の座にまつりあげた。だがその神は、絶対服従と奉仕を要求する貪欲な神だった。

なかなか面白い考え方だが、炭水化物なしで外食をすると、エンゲル係数が高すぎて、なかなか続けられない。

[amazonjs asin=”4334037666″ locale=”JP” title=”炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書)”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。