トラウマ映画館

トラウマ映画館 (集英社文庫)ひどい映画ばかり紹介するな、と思っていたら、この本のタイトルは「トラウマ映画館」だった。
確かに、純真な小中学生が観たらトラウマになりそうな映画ばかりだ。
楽しく、観たくなるレビューとして参考になる。

観たことのないマイナーな映画ばかりが紹介されている。
興味を持ってレンタルビデオで探してみても、置いていない映画ばかり。
YouTubeで発見しても、ロシア語字幕版だったりする。

狂気、殺人、レイプがテーマの映画が多いが、それでも観たくなるのは町田智浩の語り口のうまさだろう。

特に気になったのは以下の作品である。

「裸のジャングル」
アフリカの原住民に白人が追いかけられるマンハントの映画だが、最後に逃げ切った白人に対し「やめろ、あいつは立派に戦い抜いた」とエールを送るところが素晴らしい。

「肉体の悪魔」「尼僧ヨアンナ」
この2作と「エクソシスト」は、「ルーダンの悪魔憑き事件」がベースになっているらしい。
反体制派の司祭が悪魔憑きを利用した陰謀で葬られた事件である。
その事件がいくつかの視点で小説化され、映像化されたようだ。

「妖精たちの森(Nightcomers)」
ヘンリー・ジェイムズの古典ホラー「ねじの回転」の前日譚である。
あいまいな表現で有名な「ねじの回転」と異なり、「妖精たちの森」は明瞭に、そしてエロチックに描かれているようだ。
「ねじの回転」で謎だった幽霊たちの由来の物語である。

「わが青春のマリアンヌ」
この映画は、観たいというよりも松本零士への影響が興味深い。
松本零士のマンガ「わが青春のアルカディア」は、この映画のタイトルからとっているようだ。
銀河鉄道999のメーテルの声が池田昌子なのは、この映画の吹き替えでマリアンヌをあてていた彼女を、松本零士が推したからだという。

この本で紹介されているトラウマ映画は、以下の通り。
題名だけ知っているのが3本、観たことあるのがわずか1本だった。

・バニー・レークは行方不明
・傷だらけのアイドル
・裸のジャングル
・肉体の悪魔
・尼僧ヨアンナ
・不意打ち
・愛と憎しみの伝説
・悪い種子
・恐怖の足跡
・コンバット恐怖の人間狩り
・早春
・戦慄!昆虫パニック
・去年の夏
・不思議な世界
・マンディンゴ
・ロリ・マドンナ戦争
・ある戦慄
・我が青春のマリアンヌ
・妖精たちの森
・かもめの城
・かわいい毒草
・マドモアゼル
・質屋
・眼には眼を
・愛すれど心さびしく

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