最新の風俗を背景に池袋での事件を爽やかに語る「池袋ウェストゲートパーク」は、前回で長いシリーズが終了した。
この本は、時系列的にはシリーズの最新作ではなく、主人公のマコト達が高校生のころの話である。
「池袋ウェストゲートパーク・ゼロ」といったところか。
本編では池袋のキングとして君臨しているタカシが、なぜキングになったかという物語である。
それは、タカシの兄であるタケルが、なぜ死んだかという物語でもある。
描かれているのは関東の地区別に発生したギャングたちの抗争である。
所詮は子どものケンカの延長なのだが、それがとてもセンチメンタルに語られる。
主人公である語り手のマコトの話に惹き込まれる。
マコトの言うように、専門学校のガキだけでなく、人間は「物語」に弱い。
タカシとマコトの、純愛のような友情の物語である。
こんなテーマを読ませる石田衣良は、やはりスゴい。
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