居酒屋を極める

居酒屋を極める (新潮新書)居酒屋評論家による良い居酒屋の見つけ方、楽しみ方である。
著者独特の観点による居酒屋道なので、偏見に満ちているが、中年に入った”大人の”男には、共感できる部分が多い。

まずは店選びである。
著者は「古くて、小さい店」を探すべきとしている。
良心的で、手頃な値段で美味しいからこそ長く続いているはずである。
また、小さい店では、大量仕入れ大量調理ではない手作りの味に出会える可能性が高い。
そして、大きな店のようにうるさくない。
常連になれる店を、自分自身の価値観で選ぶのが居酒屋を楽しむ方法である。

次に、居酒屋に入ったらどこに座るか。
初めての店に入った時には末席に座るべきである。
玄関脇、手洗い前、階段下などが末席にあたる。
2、3回通えば「カウンターへどうぞ」と言われるようになる。
カウンターに座るには、「店の雰囲気を良好に保つ」気概が必要である。

私は冷酒派だが、著者は「燗酒」を薦めている。
温めるのが基本の酒は、世界でも日本酒だけである。
カンにすると、日本酒のすべての味が全開になる。
そこまで言うのなら、次回試してみよう。

そして、ひとり酒は何をすれば良いか。
著者は「酒を注ぐ」のを楽しむのを薦めている。
注ぎながら自分と対話する。
なかなか一人で自分だけの時間を持つのは難しい。
ひとりで黙っていると、家族や職場の同僚から声をかけられてしまう。
ひとり黙っているという「大人の楽しみ」には居酒屋が最適である。

著者はデザイナーだが居酒屋好きから「居酒屋探検隊」を結成し、誰に頼まれたわけでもないのに発行していた会報が出版社の目にとまり、雑誌の連載になった。
そして取材で呑めるので居酒屋評論家を名乗るようになったようだ。

この本の中でも北海道から沖縄まで、地元を味わえる名店を紹介している。
また、居酒屋の紹介だけの本も数冊出版しており、次はそちらを覗いてみたいと思う。

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