ソフロニア嬢、仮面舞踏会で密偵する

ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する (英国空中学園譚)人間と吸血鬼、人狼が共存している19世紀のイギリスを舞台にしたスチームパンク・シリーズの3作目である。
ソフロニアは、飛行船型の女スパイ養成学校で仲間たちと楽しくスパイになる勉強をしていた。
ところが、人狼のリーダーの孫である友達が失踪し、ソフロニアも大きな陰謀に巻き込まれる。
いや、彼女がいたから大騒ぎになったとも言える。

ソフロニアたちは、彼女のお兄さんの結婚披露の仮面舞踏会を抜け出し、友達をお爺さんに会わせるべく飛行船で汽車に乗り込む。
その汽車に吸血鬼たちの陰謀の秘密が隠されていると知ると、ソフロニアは迷わず列車強盗となる。

今回も楽しい冒険譚だった。
ハリーポッターの女スパイ版であり、魔法と同じように女スパイのテクニックも魅力的だ。
男を誘惑する視線の送り方なども学校で教えるが、イギリス上流階級的な上品さでエロチックなところが抑制されていて、バランスが良い。
ソフロニアを巡る貴族の子弟と下層階級の若者の三角関係も微笑ましい。

次回で最終巻なのが残念だ。
しかし、前のシリーズである「パラソル奇譚」で生まれた特殊能力を持つ女の子が主人公のシリーズが続くようだ。
こちらは少し大人向けの内容らしい。
楽しみだ。

少女たちはそろって背筋を伸ばした。レディ・リネットの授業はつねに興味深いが、なかでも<誘惑学>はその最たるものだ。男の操縦方法を知りたくない若いレディがどこにいる? これこそ花嫁学校の究極の目的だ!
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「それに、忘れた?」ディミティはにやりと笑い、「こんなことになるのはいつだってソフロニアのせいよ」
「そのとおり」ソフロニアはうなずいた。
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「だったら、好奇心と公正さの味方ね。事件の全貌がわかったら、そのときに選べばいいわ」
「なんとあいまいな」と、フェリックス。
「天気と同じね。でもここは英国よ。不確かなものと生きてゆくすべを学ばなきゃ」

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