今日から地球人

今日から地球人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)人類が発見した数学の定理を抹消するために、高度な知性体から派遣され数学者に乗り移った宇宙人が、人間の素晴らしさに目覚め、人間を守る側に回ってしまう、というお話。
かなり昔のSFマンガにあったようなパターンである。
SFネタとしては古過ぎるが、ハートウォーミングなユーモア小説なので楽しめる。

人間に乗り移った宇宙人が、人間の常識を身につける過程で、人間とは何かを考えさせられるストーリーである。
乗り移った直後は、衣服の必要性が理解出来ず、裸のまま街中をうろつき、警察に捕まり、精神病院に入れられてしまう。
最後には、元の数学者よりも妻や息子を気にかけ、愛するようになっていく。

特に驚くべき展開もないが、泣かせるいい話になっている。
特に飼い犬との関係は微笑ましい。
やはり、人類は可愛らしい犬には弱いようだ。

欲望や身体から切り離され、永遠の生命を持つ宇宙人は、「2001年宇宙の旅」のスターチャイルドの行末を想わせる。
最高の世界から派遣された宇宙人は、不完全な人間としての生を望む。
ある意味、「2001年宇宙の旅」へのアンチテーゼと言える。
痛みも、楽しみも、人を思いやる気持ちもない状態で、何を原動力にして行動すれば良いのか、人間である私にも分からない。

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