「クリエイティブ」の処方箋

「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86サブタイトルは「行き詰ったときこそ効く発想のアイディア86」である。
どうやってクリエイティブなアイディアを出すかではなく、どうやってクリエイティブに生きるかのヒントが満載された本である。
それぞれのエピソードが面白く、楽しませてくれる。

それぞれのアイディアは、ちょっと捻った魅力的なタイトルのものが多い。
・生涯初心者
・力不足を肯定する
・カップの気持ちになる
・壊れていなければ、壊す
・目標を持たないという目標
・最高にできなければ、最低にする
・何かを成し遂げるために何もしない
・実験するのではなく、自分が実験になる

86のアイディアは、新しいアイディを生み出すネタではない。
クリエイティブに生きる心構えやヒントを与え、困難を前に立ち止まった時に背中を押してくれる。

引用されている著名人たちのエピソードが面白い。
これを覚えていられれば、人に自慢出来るのにとも思う。

偉大な犯罪小説の大家レイモンド・チャンドラーは、毎日必ず4時間は何もしないことにしていた。彼が自分に課した2つの規則は簡単なものだった。「A、書かなくても良い。B、書く以外のことは一切禁止。そして様子を見る」。自分に書くように強いるのではなく、まったく何もしないことを強いたのだ。読書も駄目。手紙を書くのを駄目。片付けも駄目。暇つぶしに何かすることを禁じたのだ。何もせずに暇をもてあそびながら、チャンドラーは結局書いている自分に気づいた。何もしないことで想像力があちこちに飛び、そこから物語が生まれた。チャンドラーは、何もしなくていい4時間を、結局書くことに費やした。

フレミングは水彩画が好きだった。科学者仲間よりも、チェルシー・アーツ・クラブで会った芸術家たちと馬が合った。フレミングはさらに、変わった絵の具を使って描いた。踊り子たち、建物、戦闘といった多彩な主題を、バクテリアで描いたのだ。寒天で満たしたペトリ皿で微生物を培養したものが、フレミングの絵の具だった。どの微生物がどんな色になるか知っているフレミングは、塗りたい場所にそれぞれ違った微生物を塗布して生育させることで、着色した。バクテリアが生来持つ色彩が鮮やかだった。絵が生きているという事実に、フレミングは一層興奮した。フレミングは、新しいバクテリアを見つけては絵の具の種類を増やし、パレットを広げていった。

「オリジナルなんてものは存在しない。ひらめきを感じそうな気がしたら、想像力を刺激されそうなら、何からでも盗め。昔の映画も新しい映画も見尽くせ。音楽を聴け。本を読め。絵画、写真、詩、夢、行きずりの会話、建築物、橋、道路標識、樹木、雲、湖や生み、そして光も影も食い尽くせ」ジム・ジャームッシュ(映画作家)

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