意識はいつ生まれるのか

意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論意識について、どこからが「意識がある」状態かにフォーカスして研究している。
「統合情報理論」を元にした方法は、計測方法も考案されており、とても科学的なアプローチである。
手法としては理解出来るのだが、「意識」の神秘性に迫っているとは言いがたいと思う。

「意識とは何か」という哲学的迷宮に嵌り込むことを避けるために、意識は手のひらに載る大きさの脳という小さな器官の中に存在するという、不思議な実感を研究のいとぐちとしている。

次に、「意識がない」とはどういう状態か考察している。
「意識がない」状態とは、昏睡状態、麻酔によるもの、睡眠などが考えられる。
昏睡状態においては、意識があるかどうかは、外部からの観察でしか判断できない。
観察方法として、身ぶりによる反応やニューロンの反応がある。
しかし、外部からの情報がなくても、内部の情報だけで脳は意識を作ることが出来るので、外部からの観察だけでは限界がある。
実際、意識がないと思われていた人が、覚醒後、実は意識があったと報告する例も多いようだ。
恐ろしいことに、手術中に麻酔が切れて意識が覚醒する人がある程度の割合で存在する。
しかし、手術中の記憶が失われるため、報告例が少ないらしい。

本書では「統合情報理論」に基づき、意識の有無を定義している。
「ある身体システムは、情報を統合する能力があれば、意識がある」というのがこの理論の根本である。
この理論では、情報量と統合がポイントになる。
情報量が少なければ意識があるとは言えず、情報が統合されていなければ、また意識が統合されているとは言えない。
デジカメは多数の撮影素子による情報を得ているが、統合されていないので意識があるとは言えない。

意識があるかどうか計測する方法も考案されている。
磁気刺激で脳を刺激し、情報の波及を脳波計で計測するのだ。
この方法で、意識がないと言われている状態では、本当に意識がないかどうか計測することが出来る。
この方法を使えば、人間以外の動物や異星人さえも、意識があるか判断出来る。

理論と計測がセットになった科学的な手法だと思う。
しかし、「意識とは何か」という神秘的な問題に、納得のいく回答を出しているとは思えない。

測定器がニューロンの活動を記録しているところに、エイドリアン・オーウェンは患者へ、ヘッドホンにつながれたマイクを通じて、あの決定的な指示を出したのだった。「テニスをしているところを想像してください」と。患者の女性はじっと動かない。6ヶ月間ずっと同じ状態だ。だが、女性のニューロンは違う。コンピュータの画面には、大脳の前部に活発な活動を示す赤い炎が現れた。前運動野とぴったり一致する領域の酸素消費量が、はっきりと上昇したのだ。

オーウェンらの研究グループは、最初”テニス実験”後の数年間で、対象を数十人に増やして同様の実験を行い、最初の発見が唯一の例ではないことを確かめた。植物状態と診断されている5人につき一人の割合で、そのときどきの指示にふさわしいニューロンを意図的に活動させる者がいた。

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