火車

火車 (新潮文庫)宮部みゆきのファン投票でも1位になる名作である。
やはり面白い。
旅行中の暇な時間に読もうと思っていたが、初日に読み切ってしまった。
社会問題と不運な人間の悲哀を見事に描き、謎解きのミステリーとしても素晴らしい。

主人公は怪我で休職中の刑事である。
あまり親しくない親戚から、婚約者の女性が失踪したので探して欲しいと依頼される。
どうせ暇なので調査をしてみると、底知れぬ謎に足を踏み入れることになってしまった。

テーマは「カード破産」である。
よほどだらしない人しか自己破産などしないと思っていたが、この小説を読んでから他人事に思えなくなってきた。
ちょっとして不注意で、借金は膨れ上がる恐れがあるのだ。

この小説では、借金取りに追いかけられる人生の恐ろしさがリアルに描かれている。
法的には責任のない親の借金でも、借金取りは巧みに取り立てて来る。
追い詰められ、他人を巻き込んでしまう心情も理解できなくはない。

ミステリーなので、ネタバレせずに語るのは難しい。
単純な失踪と思っていた事件が、新しい事実の発見で徐々に姿を変えていく展開は、さすが稀代のストーリーテーラー宮部みゆきである。
現代の仕組みの被害者でもある犯人には同情出来るところもあるが、地獄から抜けだそうという執念は恐ろしい。
使い古された言い方だが、一番怖いのは人間である。

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