カレイドスコープの箱庭

カレイドスコープの箱庭 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)本書は、「チーム・バチスタ」シリーズにおいて田口&白鳥コンビ最後の事件と銘打たれている。
このシリーズでは様々な個性的キャラクターが登場し、面白い組み合わせで事件を解決していった。
しかし、第1作の主人公である田口&白鳥コンビが読んでいて一番安心する。
厚生省のロジカル・モンスター白鳥と、その不肖の弟子にされてしまった田口の凸凹コンビの漫才のようなやりとりは、素直に笑える。
本当に終わってしまうのなら、とても残念だ。
でも、著者の気まぐれで復活することも、きっとあるのだろう。

なし崩しに出世させられた愚痴外来の田口は、またも病院長から無理難題を丸投げされる。
AIの国際学会の仕切りと検体の取り違いによる医療ミスの捜査である。
AIとは、死亡時に解剖する代わりにCTスキャンの画像で診断する手法である。
田口は日本初のAIセンターのセンター長に祭り上げられたので、学会の主催をするのもおかしな話ではない。
しかし、英語の苦手な田口にすれば、とんだ災難である。
英語による講演に慣れるためもあって、田口はいきなりアメリカに送り込まれる。
そこでは、強力な助っ人が待ち受けていた。

同時進行で医療ミスの捜査もしなければならない。
死亡した患者の病名の診断に誤りがあり、検査時の検体の取り違いか、担当医の誤診か判定しなければならない。
田口は単純な問題だと思っていたが、白鳥が乗り込んで来たことで、事件は複雑化し、大騒動になっていく。

2つのテーマをこの分量の小説に仕上げる海堂尊の力量は、さすがである。
医療ミスの解明は、関係者を一同に集め、古典的な探偵小説のような謎解きのスタイルになっているのも楽しい。

巻末に著者の日常に関する歴史が掲載されている。
まず、講演の多さにビックリする。
これだけの数の講演をこなした上で、よくも小説を書けるものだと思う。
忙しさは田口の比ではない。

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