魔術はささやく

魔術はささやく (新潮文庫)宮部みゆきの古典を楽しもう!という個人的キャンペーンの第2弾。
ひょっとしたら読んだことがあったかもしれないが、記憶の彼方なので、素直に楽しめた。
ストーリーテーラーとしての宮部みゆきの実力を満喫出来る作品だった。

父親が失踪し、母親が病死したため少年は東京の親戚に引き取られた。
引き取られた先でタクシーの運転手をしていた叔父が、若い女性をはねる死亡事故が起こった。
事件の目撃者を探すため付近を調査した少年は、怪しい事件に巻き込まれる。
ひかれた女性と一緒にインタビューを受けていた女性たちも自殺しているのだ。
彼女たちを殺したと言う男が少年に接触して来た。
彼は、人を自由に操れると言うのだ。
次の殺人を阻止しようと奔走する少年は、自身の過去と向き合うことになる。

催眠術による自殺は不可能である、と言われている。
宮部みゆきは、独自の方法でこの問題を回避し、催眠術を恐ろしい道具として利用している。
本当にそこまで出来るか疑問はあるが、フィクションのリアリティとしては十分だと思う。

この小説では、犯人が犯行時間を指定する。
読んでいていて、これがドキドキする。
何かが起こるのは分かりきっているのだが、それでも緊張してしまう。
映像では有効な時間指定が、小説でも有効な手法だと感じる作品である。

宮部みゆきのミステリーの特徴として、ひとつの謎が解けると次の謎が顔を出す。
謎を追っているうちに、当初とは全く異なる状況になっていることに気づくことが多い。
この作品でも最初は単純だと思っていた登場人物の関係が、実は全く違っていたことが判明する。
また、謎が全て解明された後に、少年の倫理的選択が残されているあたり、ただのミステリーではない。
少年の成長を描く物語になっている。

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