初めてのアドラー心理学

初めてのアドラー心理学どうやら「アドラー」が流行っているらしい。
私は心理学科卒だが、「アドラー」はイメージが薄い。
調べてみると、なるほど自己啓発向きの考え方を提唱している。
フロイトと同時代の人なので今となっては古い考え方もあるが、提唱した時期を考えると、革命的であり、その後の心理学への大きな影響があったのだろう。

この本は、アドラーの一生と彼の理論が交互に解説されている。
始めは読みにくいと思ったが、アドラーの理論は、彼の人生と歴史的背景を知っておいた方が良いので、このような構成となったのも納得がいく。

アドラーは1870年にウィーンで生まれた。
彼の一生においては、次の状況が大きく理論の形成に影響したようだ。
・兄との確執
・社会主義運動に傾倒した妻との結婚
・フロイトとの決別
・アメリカでの成功
・個人心理学の確立

アドラーは多くの理論を提唱している。以下はその一部である。

ライフ・スタイル
個人の全人格。各人が自分自身や他者の世界について抱いている考え方や信念の集合。
仕事、友情、親密さといったライフ・タスク(人生の課題)を乗り越える方法を選択する時に、ライフ・スタイルが元になる。

家族布置
家族の中の自分の位置の認識が成長に影響を与える。

早期回想
ライフ・スタイルは6〜7歳時に発達する。
その時期を回想することで、ライフ・スタイルを分析し、態度、物の見方、動機の原因を発見する。

個人心理学
個人は環境に影響されるが、出来事をどうみなすかは選択できる。
自分自身に責任をとらなければならない。
この考え方が、現代の自己啓発と相性が良いのだろう。

この本はアドラー派の人が書いたのだと思われる。
NLP(神経言語プログラミング)などの影響のあった後発の研究は、もっとアドラーに感謝すべきだと書かれている。
その言い方には違和感がある。
かつて、アドラー派とフロイト派で派閥抗争があったが、まだその残滓を引きずっている気がする。
アドラーの理論は、いま読むとごく普通のことに思えるものも多い。
アドラーが発見した結果が定着したのかもしれないし、人間の普遍的習性なので、他の人が独自に発見した可能性もある。

[amazonjs asin=”4752880105″ locale=”JP” title=”初めてのアドラー心理学”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です