ロボティクス最前線

ロボティクス 最前線この分野は趣味で情報収集しているので、トピックとしては知っているものがほとんどだった。
しかし、これだけ多くの分野を俯瞰して見ると、ロボット産業の幅の広さが良くわかる。
部品の生産も含めると、自動車産業以上の産業に育つ可能性がある。
日経産業新聞による本だけに、企業名が多く登場し、未来ではなく現在の状況であることが実感出来る。

この本では、いくつかの特徴的な製品や分野別にロボティクスの現在をレポートしている。

ひとつ目は、ソフトバンクによる家庭用ロボット「ペッパー」である。
月産1,000台が、発売と同時に完売してしまう人気らしい。
人の良さそうな見た目とは異なり、人間の生活の情報収集端末として販売されているようだ。
収集したビックデータを使い、新しいニーズを発掘しようというのがソフトバンクの戦略なのだろう。
記者によるペッパーのソフト開発の体験記もあり、私も作ってみたくなった。
しかし、本体の入手が難しい。

次は、ニュースでもよく取り上げられる「ドローン」である。
ドローンの研究では、スイス連邦工科大学チューリヒ校が有名なようだ。
ここでは、ドローンのアルゴリズムに注力している。
人間の投げたボールを投げた人に打ち返すドローンを、市販の11万円程度のドローンで実現している。
ドローンのメーカーとしては、中国の企業が一歩先を行っている。
スマホを製造していた企業は中国に多く、ドローンではスマホの部品が多く利用されているからだ。

東京五輪に向けてロボティクスが加速している。
身体障害者を支援するロボティクスは、健常者の能力を超えつつある。
また、建設業界やホテルなどの人手不足を解消する手段として、ロボットは期待されている。
東京オリンピックの開会式では、実物大の動くガンダムを登場させるプランもあるようで、これは楽しみだ。

姿が人と同じアンドロイドの開発・研究も進んでいる。
人間にとって最良のインターフェースは人間であり、人間と共存するには人型が一番望ましいという思想が背景にある。

世界的な大会で競うことにより技術を向上させる取り組みも盛んである。
ロボットによるサッカーの大会は有名だが、サッカー以外にも災害救助の大会や、アマゾン主催による配送品の仕分けの大会も行われているようだ。

日本独自の状況として、福島原発の廃炉がある。
高い放射能により人間が近づけない廃炉作業は、ロボット開発の実験場になっている。
パイプの中を進むロボットや、無人の重機、核燃料の形を素粒子で計測するロボットなど、問題を解決するための技術開発が盛んになっている。

このように幅広い分野でロボットの技術が必要とされ、開発、製品化されている。
ロボットには多くの部品やソフトウェアが必要であり、ロボットが一般化されて時には巨大な産業となることが予想される。
頭打ちになっている自動車産業の次の産業として期待される。

4つのプロペラでホバリングしていたドローンは、甲高いプロペラ音を響かせながら記者が放り投げたボールの落下点に先回り。備え付けられたラケットで記者の手元に正確にボールを跳ね返してきた。まるで生きているかのように飛び回る。「これはすごい」。思わず声が漏れた。

なぜ中国でドローン市場が立ち上がったのか。「世界のスマートフォンの主要な製造拠点だからだ」と中国の電子部品大手の技術系患部は分析する。スマホとドローンではGPSや様々なセンサー、高性能バッテリーなどを搭載していることが共通で、「多くの企業がスマホの次はドローンに焦点を定めて新規参入している」(同幹部)。

2020年7月、東京五輪のメーン会場は、超満員の観客とともに開会の瞬間を迎えようとしていた。そのとき突然、照明が消え、次の瞬間、競技場の脇から巨大なロボットが姿を現した。
「ガンダムだ!」
「地球連邦軍」のモビルスーツが会場をにらみ付けるように立ち上がると、会場は興奮の渦に包まれたー。

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