レッドスーツ

レッドスーツ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)「ロックイン」からハマっているユーモアSF作家ジョン・スコルジーの作品。
スター・トレックのパロディ、直球勝負である。
レッドスーツとはスター・トレックの警備員の制服の色が赤いことから来ている。
ドラマの中で警備員はよく死ぬらしい。

銀河連邦の旗艦イントレピット号は、任務での死亡率が異常に高い。
しかし、艦長たち上級士官が死ぬことはない。
イントレピット号に着任したダールは、先輩たちが上級士官たちと顔を合わせないように逃げまわっていることに気がつく。
上級士官たちと任務に参加すると、必ず事件が起こり、そのとばっちりで死ぬことになるのだ。
ダールは、新人仲間たちのこのおかしな謎を解明しようとするが・・・

宇宙の平和や異星での冒険よりも、上級士官から逃げるのに必死な乗務員の姿が笑える。
しかし、スター・トレックのファンでない私には、よく分からないネタが多いし、ノレなかった。

テンポの良い会話を読んでいるだけでも楽しくなる。
泣かせるシーンも結構あったりする。

ラストも笑える。
ネタバレなので、これから読む人はパスして下さい。

ダールは淡々と任務をこなしたが、6ヶ月後のある日、イントレピット号がシステムの故障によって小惑星に激突すると、艦は雲散霧消し、乗っていた人びとは残らず即死した。

いやいや、ただのジョークだよ。
彼らはそれからずっと幸せに暮らしました。
ほんとだって。

「いささか常軌を逸してますね」
「はじめにそう言ったはずだ」
「期待は裏切られませんでしたよ」

「そうだな」とヘスター。「あれだけ大騒ぎしたわりに、どんな意味があったかというと、いつの日かバスルームで足をすべらせて便器で頭をかち割ったとしても、死ぬまぎわに”まあ、これはおれが自分ひとりでやったことだ”と考えて満足できるってことでしかないからな」
「そんなふうに言われると、とてもそれだけの価値があったとは思えないわね」とデュヴァル。
「べつに便器で頭をかち割るのはかまわない」とヘスター。「そのとき120歳だったら」
「あなたの120歳の誕生日には、床用ワックスをかかえて会いにいくから」デュヴァルは約束した。
「待ちきれないね」

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