アイアムアヒーロー映画版

アイアムアヒーロー(1) (ビッグコミックス)原作はなかなか面白いのだが、マンガ原作の映画は失敗することが多い。
キャスティングの発表を見ると、主演の大泉洋を始めメジャーどころで固めており、不安になるばかりだった。
しかし、実際に映画館で観てみると、なかなか頑張っていると思えるゾンビ映画に仕上がっていた。
傑作とは言わないまでも、世界標準のゾンビ映画になっている。

さえない漫画家の鈴木英雄は、アシスタントとして何とか食いつないでいた。
出版社に自作を持ち込んでも軽くあしらわれ、同棲している彼女ともうまくいっていない。
そんな彼の日常が、ある日崩壊した。
謎のウィルスに感染した人びとは、凶暴化し他人を襲うゾンビとなり、噛まれた人もまた凶暴化した。
英雄は、パニックになった都会を避け、高いところにはゾンビがいないという噂を信じ、たまたま同じタクシーに乗り合わせた女子高生の比呂美と富士山を目指す。

まず、心配していたキャスティングだが、大泉洋は見事に役にハマっていた。
個性の強い俳優だが、いつもの芸風が前面に出ることも少なく、鈴木英雄として、無理なく感情移入出来た。
比呂美役の有村架純は、セリフが少ないのもあるが、違和感はなかった。
藪役の長澤まさみも、頼れる姉御をうまく演じていたと思う。

原作が終わっていないので、どのようにまとめるかと思ったら、富士のショッピング・モールでの戦いまでを描いていた。
ここまでがひとつの山場でもあり、アクションも多いので、良いまとめ方だったと思う。
従って、まだ普通のゾンビとして描かれているし、比呂美の特殊能力も発揮されない。

ウィルスが広がりはじめた街の様子が怖かった。
ゾンビは走るし、一見するとゾンビか人間か見分けがつかないし、どちらに逃げて良いのか全く分からない。
パニック映画として、これだけリアルな日本映画は他にはなかったように思える。

マンガ版を読んでいた時には感じなかったが、原典(「ゾンビ Dawn of the dead」)へのオマージュも多い。
戦いの舞台はショッピング・モールだし、それぞれのゾンビに個性があったり、音楽でゾンビを引きつけるなど、ファンには楽しい場面が多い。
ロレックスをたくさん腕に巻いている、映画オリジナルのギャグが良かった。

ラスト近くのゾンビとの対決も、地道に全滅させるのが潔い。
超能力で吹き飛ばすのでもなく、突然助けが現われるのでもなく、100体近いゾンビを殺し続ける。
千人斬りのような勢いである。
ピーター・ジャクソンの「バッド・テイスト」のような血みどろパーティは、日本映画とは思えないレベルだ。

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