超図説目からウロコの進化心理学入門

超図説 目からウロコの進化心理学入門―人間の心は10万年前に完成していた (講談社SOPHIA BOOKS)チャラいタイトルに反して、進化し心理学の概況について、とてもよくまとまった本である。
図書館で借りたのだが、手元に置きたくなり、Amazonで探したら古本に高値がついていた。
電子書籍で再版して欲しいものだ。

人間は長い年月をかけて環境に適応するように進化した、その過程で身体が変化したように、精神も作られた、というのが進化心理学の考え方である。
人間の行動の理由を、進化の観点から推測する興味深い分野である。

この本では、進化心理学の歴史と基本的な考え方をポップなイラストとシンプルな文章で解説している。
時には悪意さえ感じる科学者達の似顔絵も微笑ましい。

現在の進化心理学では、人間の心は複数の機能モジュールで構成されていると考えている。
それらの機能は、石器時代には作り上げられた状態である。
人間は、石器時代には作られた心で現代社会を生きている。
石器時代と現代の環境の違いから発生する誤った適応が、様々な問題の原因となっている。

人間は次の7つの機能モジュールを持つと説明されている。

・猛獣回避モジュール
・食物嗜好モジュール
・連帯形成モジュール
・子どもやほかの親族を助けるモジュール
・心を読むモジュール
・言語モジュール
・配偶者選択モジュール

それぞれのモジュールの説明には毒があって楽しいし、日常生活を思い返すと納得できるものが多い。

結局、原書で購入してしまった。
安かった。

カナダの統計では、2歳以下の子どもたちが、生みの親よりも、育ての親に殺される確率が、約70倍も多い。これらのデータからも、人間にある「子育てモジュール」の存在が、はっきりと示され、それによって、親たちが自分の子どもを認め、親として、自分の子どもにだけ何かをしてやるのが方向づけられていることが、裏づけられている。

トリヴァースは、問題の核心は、「子どもが自分自身に、兄弟よりも2倍の価値をおいている」点だと論じた。誰でも、遺伝子上では、自分自身は100%の血縁度だが、それが兄弟や姉妹の場合には、50%の血縁度にしかならない。

人々はごまかしが含まれる内容のテストの場合だけに、答えを簡単に見つけることが示された。
演繹的に推論する私たちの能力が、特別に、ごまかしや裏切りを見つけるために進化したのなら、演繹的推論を裏切り者探知のときに使うほうが、ほかの状況で使うよりもずっとうまくいくのは当然だろう。

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