ファスト&スロー

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)行動経済学が誕生した原因にもなった有名な一冊である。
語り口は優しく、紹介されている事例も面白い。
言いたいことはシンプルだと思うのだが、その割には本書は分量が多すぎる。

人間が判断を誤る原因について、多くの事例と3つの視点から解説している。
古典的経済学では、人間は誤ることなく利益を追求するとしていたが、本書の著者が、人間はその思考の構造上、判断を誤ることがあると証明したため、完璧ではない人間の経済活動を扱う行動経済学が生まれた。

1つ目の視点は、人間の持つ2つの思考システムを想定している。
人間は、システム1(速い思考)とシステム2(遅い思考)の2つを使って物事を判断している。
システム1は、直感的で、状況により間違いが多い。
システム2は、論理的だが、なかなか働かない怠け者である。
人間は、システム1を優先させることで判断を誤ることがある。
また、システム2が判断に使う情報は、システム1から得るために、間違えることがある。

2つ目の視点は、理論の世界に住む架空の人種エコンと、現実の世界で行動するヒューマン。
3つ目の視点は、現実を生きる「経験する自己」と、記録をとり選択する「記憶する自己」である

とても興味深いが、自分の判断を信じられなくなる本だった。

痛ましくも鮮明な死者や負傷者のイメージが報道や日々の会話によって絶えず増幅され、ひどく身近な取り出しやすい情報となる。(中略)自分では抑制できない連想的で自動的な感情覚醒が起こり、どうしても防衛行動をとりたいという衝動に駆られてしまう。システム2は、確率的にきわめて低いことを知ってはいるだろう。けれどもこの知識は、自然発生的に湧いてくる居心地の悪さや逃げたいという衝動を抑える役には立たない。システム1はスイッチオフできないからだ。

簡単に言うとシステム1は直観や感情を、システム2は熟慮を担っている。システム1は素早く、努力なしに自動的に発動し、意識的に停止することはできない。これに対してシステム2は遅く、意識的に努力しないと起動せず、発動にエネルギーを必要とする。

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