中継ステーション

中継ステーション〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF シ 1-5) (ハヤカワ文庫SF)名前だけは知っていたが、初めて読むシマックである。
アメリカの片田舎で、異星人が宇宙旅行するための中継ステーションを守るまじめな男の苦悩を描いた古典SFである。
独特の静かなイメージが心に残る、今読んでも十分に楽しめる小説だった。

彼を監視しているCIAのエージェントが、大学教授に相談する導入部が良い。
古さを感じさせないセンスの良い構成である。

普通の人間の寿命よりも長きに渡り、中継ステーションを守ってきた彼の日常は、単調で、静かなものである。
新しい客が到着するというメッセージがなければ、近所を散策し、日記を書く。
SF的なアイディアも面白いが、アメリカの自然の美しさが印象に残る。

良かれと思ってした彼の過去の行いが、銀河連邦(?)で問題となり、人類全体の運命を変えてしまう事態となる。
しかし、それを知っているのは、片田舎に住む彼だけである。
野蛮で戦争ばかりしている人類と銀河連邦のどちらに忠誠心を持つべきか、一人葛藤することになる。

近所の悪者に狙われ、銀河連邦からも罪に問われ、絶体絶命かと思いきや、怒涛のハッピーエンドを迎える。
それでも、彼の孤独は変わらない。

なかなか面白かったので、シマックのもう一つの代表作である「都市」を読もうと思ったら、絶版だった。
図書館にはあったので、借りることが出来た。
少し古い本を読むには、図書館はとても便利だ。

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