熊と踊れ

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)早川書房イチ押しの北欧ミステリー。
派手なギャングアクションかと思ったら、家族と暴力がテーマの重い小説だった。
上下2巻の物量もさることながら、全編を緊張感が貫いているので、読んでいて疲れた。

3人兄弟と幼馴染の4人組が、軍の銃器を強奪する。
スウェーデンでは、軍の銃器が山の中の倉庫に保存しており、中身の確認はたまにしかしないらしい。
彼らはこの圧倒的な量の武器を使って銀行強盗を行う。

リーダーである長男が緻密な計画を立てる。
緻密な計画を立てるところや、準備をする場面は読んでいて楽しい。
新しく購入した自宅に、強盗の練習用の部屋を作ったり、二重底の金庫室に武器を隠したり。
本職が工事業者である彼らは、家の改造にも抜かりがない。

家族を守ろうとする長男のプレッシャーは読んでいて辛い。
大人になりたい末っ子、兄弟になりたい幼馴染、兄弟の絆に入り込めない苛立ちを持つ長男の彼女、それぞのの想いを抱えたまま、危うい綱渡りのように銀行強盗が続けられる。

暴力で家族を支配し、守ってきたが、歳をとって落ちぶれた父親が参加することになり、さらに危うさが加速する。

本書はスウェーデンで実際にあった事件を下敷きに書かれたフィクションである。
書いているのが、銀行強盗に参加しなかったただ一人の兄弟だというのもスゴい。

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