あとは野となれ大和撫子

あとは野となれ大和撫子 (角川書店単行本)中央アジアの小国で、戦災孤児となった日本人の女の子ナツキは、大統領の後宮で生活することになる。
かつては日本の大奥のような存在だった後宮は、新しい大統領の時代になってから女性の教育機関となっていた。
後宮で育ったナツキは、同じ年代の女の子たちと楽しく暮らしていた。
しかし、大統領が凶弾に倒れた時、彼女たちの生活は大きく変わった。

議事堂にイスラム系ゲリラが向かっているという噂を聞いて、議員たちは全員逃げ出してしまった。
仕方なく、ナツミたち後宮の女の子たちは、自分たちだけで臨時政府を立ち上げる。
行きがかり上、防衛大臣にされてしまったナツキは、いままで国連軍だよりだった貧弱な自国軍の尻をたたき、砂漠の遊牧民族をまとめて奮闘する。
この小説は、女の子たちだけで、国を守るためにゲリラと戦い、周辺諸国の干渉に対処し、国内の旧勢力と対峙する爽快な物語である。

舞台は現代だが、作者はSF作家だけに、随所にSFティストが感じられる。
かつては海だったが、砂漠となってしまったこの地域を人間が住めるようにした事業は、テラフォーミングと呼ばれている。
砂漠地帯でも生きられるように遺伝子改造した植物がラクダの餌となり、空気中の水分を抽出する機械によって砂漠の民も生活できる。
資源のないこの小国は、テクノロジー立国を目指している。

周辺諸国の思惑に翻弄される小国の事情や、民生品を利用したゲリラの攻撃など、現代社会の描写がリアルだ。
旧ソ連の負の遺産がひとつのキーポイントになっている。

映像化向きの作品だと思うが、日本人は2人しか出てこないので、日本の配給会社では難しいかもしれない。
amazonかNetfliexあたりで映像化してくれないものか。

”問題は、どのようにピンポイント性を実現しているのか。気球は風任せだし、地上から40キロも離れている。だから、爆弾にスマートフォンをくくりつけ、上空からの映像のGPS、そして地上のWi-Fiルーターの位置を確認し、軌道を変えていると見られる”

「失われた氷河を取り戻すために、白いペンキでアンデス山脈を覆うの。そうすると太陽光が反射されて、15度近くも温度が下がる」

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