宇宙船ビーグル号の冒険

宇宙船ビーグル号の冒険【新版】 (創元SF文庫)日本のSF少年の基本読書である「宇宙船ビーグル号の冒険」の新訳が出版されたので、読んでみることにした。
科学者と軍人を乗せて宇宙を探検するビーグル号は、様々な宇宙生物と出会い、戦うことになる。
SF小説の基本フォーマットとなった本書は、いま読んでも十分面白かった。
ただ、子供の頃と大人になった今とでは、受ける印象が随分と違ったものになった。

本書は、以下の4つの短編が含まれている。
「黒い破壊者」
「神経戦」
「緋色の不協和音」
「アンドロメダのM33星雲」

「黒い破壊者」では、SF界のアイドルとも言える宇宙生物「ケアル」が登場する。
高千穂遙のダーティーペアにも登場した猫型生命は、凶暴な上に高度な知性を持ち、イメージされるビジュアルほど可愛くはない。
いま読むと、それほど印象的な生命体ではないのだが、1939年の作品であることを考えると当然かもしれない。

「神経戦」は、映画「エイリアン」の元ネタとなった話である。
宇宙船に乗り込んできたイクストルが、乗組員をさらって、体内に卵を産み付ける。
読んだ子供にトラウマを与えそうな設定である。
再読して驚いたのは、イクストルを退治する作戦である。
乗務員をおとりにして、イクストルをおびき出すのだが、何人かは犠牲になっても仕方ないと割り切っているのだ。
いくら何でもクール過ぎるだろう。
それと、イクストルは、我々の宇宙の前に存在した宇宙の征服者だった、という設定が面白い。

一番驚いたのは「アンドロメダのM33星雲」である。
巨大な敵を倒すためには、ビーグル号の方針を変更する必要がある。
主人公の主張は船内で受け入れられなかった。
地道な説得活動で仲間を増やすと思いきや、催眠術を使って乗務員の意識をコントロールしてしまうのだ。
正義の味方というよりも、悪の秘密結社の手法だろう。
どんな強力な宇宙生物よりも、人間が一番恐ろしい、というホラー映画のような結論に達してしまった。

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