リスクにあなたは騙される

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)人間が過度にリスクを感じてしまう原因を心理学的に分析している。
ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」で提唱された脳の2つの機能が前提となっている。
この本では、原始的で迅速な判断をする機能を「腹」、理性的だが怠け者で判断の遅い機能を「頭」とし、人間の判断は「腹」が基本となっているため、実際よりもリスクを高く見積もってしまう、というのが基本的な考え方だ。

リスクを実際よりも大きく評価してしまう原因は、我々の脳が石器時代の状態から進化していないことにあると主張している。
現在のリスクと石器時代のリスクは異なるのだが、「腹」にはその判別が出来ない。
そのため、すでにリスクではないものもリスクと判断してしまう。

もうひとつの原因は、リスクを意識させる「恐怖」は利用し易いからだ。
マスメディアは、恐怖を煽って売上を伸ばそうとし、政治家も恐怖を使って支持率を上げようとする。
そして、メディアの関係者たちも同じ人間なので、利益を追求するためだけでなく、「腹」を使って誤ったリスク認識をしている。
そのため、人類史上最も安全であるはずの現代で、多くの人がリスクへの不安を抱えている。

リスクを使った報道、政治、商売が溢れる現代において、冷静に判断するためのひとつの指針となる本だと思う。

そういうわけで、9月11日のテロ攻撃に続く数ヶ月間、政治家やジャーナリストがテロや炭疽菌、汚い爆弾についていつまでも心配し続ける中、テロから身を守るために空港を避けた人たちは、米国の路上で衝突し血を流して死んでいった。そして誰もこの事実に気づかなかった。

「そこで、まず初めに、確信をもって言わせてもらいたいのは、我々が唯一恐れなくてはならないのは恐怖そのものだということです。それは、言葉に表せない、いわれのない、正当化されない恐怖であり、引き下がらず前に進むために必要な行動を取らせないようにします」ルーズヴェルト

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