この「いちばんやさしい」シリーズは、なかなか良書が多い。
入門書なのだが、深い部分もちゃんとフォローしている。
この本も独自の視点が面白い。
ブームということもあり人工知能に関する書籍は多いが、ビジネスへの適用を検討にフォーカスし、法的問題に力を入れているのはこの本くらいだろう。
本書では、人工知能についての概論の次に、人工知能ビジネスの法的リスクについて解説している。
確かに、企業で新しいビジネスを検討する際には、法的リスクの検討は欠かせない。
しかし、ITシーズを使ったマーケティングの本で、法的リスクの説明に力を入れている本は少ないと思う。
本書では、技術的な解説よりも、法的リスクの解説の方が分量が多いイメージさえある。
その後、以下の分野での人工知能ビジネスの現状と将来について語られている。
・自動運転
・ドローンビジネス
・人工知能による創作
・画像認識ビジネス
・マッチングビジネス
・金融、保健、医療
法的リスクだけでなく、人工知能ビジネスの事例も豊富である。
総務省やアメリカの大学が提唱しているビジョンや定義は分かりやすく、将来の方向性にリアリティを与えている。
人工知能倫理指針まで既に存在するのは驚く。
我々は、いつの間にかSFの世界に生きているようだ。
人工知能倫理指針(抄)
・人類への貢献
・法規則の順守
・他者のプライバシーの尊重
・公正性
・安全性
・誠実なる振る舞い
・社会に対する責任
・社会との対話と自己研鑽
・人工知能への倫理遵守の要請
運輸省道路交通安全局(NHTSA)が示した見解に自動車業界が騒然となりました。
NHTSAは「人工知能を運転者とみなせる」と示唆したのです。(中略)
NHTSAは、Googleが十分な情報と根拠を提供することを前提に、人工知能と位置づける自動運転用ソフトウェア「SDS」を「運転者」とみなせる可能性があると回答しました。人工知能による運転で解決困難な事例
・右の車両は高級車、左の車両は大衆車
・右の車両はエアバック搭載、左の車両はエアバック未搭載
・右の車両はシートベルト着用、左の車両はシートベルト未着用2016年5月9日には、楽天株式会社がゴルフ場のコース内でドローンを使用した配送サービスを開始しました。
ゴルフ場のコース内でスマートフォンの専用アプリからゴルフ用品や軽食、飲み物を注文するとドローンがコース内の受取所まで商品を届けてくれるというものです。アメリカで、6歳の少女がAmazon Echoに向かって、「ドールハウスが欲しいの」と勝手に注文してしまうという事件がありました。
また、その事件を朝のニュース番組で取り上げ、キャスターが「『Alexa、ドールハウスを注文して』なんて、愛らしい女の子ですね」と発現してしまい、テレビを見ていた家庭のAmazon Echoを一斉に起動させるという事件もあったようです。
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