死の迷路

死の迷路 (ハヤカワ文庫SF)むかしサンリオ文庫から出版されていたディックの小説の新訳である。
サンリオ文庫の時は「死の迷宮」だったが、早川版では「死の迷路」になったようだ。
「死の迷路」だと、少し軽い感じになってしまう気がするのだが。
再度読んでみて、ディックにしてはちゃんとまとまった話になっているのに驚いた。
オチらしいオチもあるのだが、話が破綻していないとディックの小説としての愉しみが減ってしまう。

ある惑星に人々が集められるのだが、その目的は知らされていない。
集められた人たちは、それぞれに精神的な問題を抱えているようで、全員でまとまって事にあたることが出来ない。
期待していた指令もないまま、殺人事件が発生する。
理由も分からぬまま、お互いに殺し合うことになってしまうが・・・

あらすじだけ語ると、孤島を舞台にしたミステリーのようである。
そこはディックなので、その世界の人々が信じるオリジナルの宗教がバックボーンにあったり、登場人物が全員精神的に病んでいたり、一筋縄ではいかない。

しかし、最後にはトリック、というかオチが発覚し、小説としてまとまっている。
ディック初心者には勧められる小説かもしれないが、ディック愛好者には破綻がないため物足りない。

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