夜来る

夜来たるアイザック・アシモフは、いま読んでも十分に面白いことが分かって良かった。
アシモフの短編集である本書を読むと、SFのアイディア、サスペンス、人間心理を見事にミックスして、上質なエンターテイメントに仕上げていることがよく分かる。
クラークほどの専門性はないかもしれないが、読ませる物語を書く卓越した才能がある故に、古典となっても楽しませてくれる。
続きを読む 夜来る

スキャナーに生きがいはない

スキャナーに生きがいはない 人類補完機構全短篇 (ハヤカワ文庫SF)コードウェイナー・スミスによる「人類補完機構」シリーズの短編集である。
コードウェイナー・スミスはあまり読んでいなかったので、今回のKindleセールで読んでみることにした。
残念ながら、この未来史シリーズは、私の趣味には合わなかった。
ちゃんと読まなかったせいか、結局、「人類補完機構」とは何か、分からずに終わってしまった。
そう言えば、むかし読んだ同シリーズの「ノーストリリア」も、よく分からなかった。
続きを読む スキャナーに生きがいはない

ゴーストスナイパー

ゴースト・スナイパー 上 (文春文庫)事故で首から下が動かせなくなってしまった元鑑識のリンカーン・ライムが活躍する人気サスペンス・シリーズ。
本作では、ライムの手術が成功し、ある程度までは身体の自由が効くようになった。
しかし、犯罪の現場は海外。
ニューヨークに拠点を構えるライムにとっては、難しい事件だった。
続きを読む ゴーストスナイパー

虚ろなる十月の夜に

虚ろなる十月の夜に (竹書房文庫)巻末の訳者あとがきにあるように「さて、諸君。ロジャー・ゼラズニイである。」である。
ゼラズニイがまだ生きていたのか!と思ったが、そうではなく本書は未訳だった遺作を初めて翻訳し、日本で出版したもののようだ。
SF界のメジャーな賞を何度も受賞したゼラズニイが、遺作となる本書で選んだネタは、クトゥルーである。
これは読まないわけにはいかない。
続きを読む 虚ろなる十月の夜に

昆虫こわい

[カラー版]昆虫こわい (幻冬舎新書)「昆虫こわい」の「こわい」は、落語の「まんじゅうこわい」的な意味の「こわい」である。
本当は大好きだけど、「こわい」と言っておいて方が相手が寄ってくるかもしれない、という期待を込めた言い方なのだ。
昆虫バカの昆虫博士が、世界中で昆虫採集をしている様子が楽しげに語られている。
続きを読む 昆虫こわい

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

IT イット“それ"が見えたら、終わり。なんで今頃?と思うキング初期大作の再映像化である。
一度TV版ミニシリーズとして映像化されており、これも面白かった。
映画版は、舞台が1980年代に変更されており、アメリカでは大ヒットしたようだ。
映像としてはよく出来ているのだが、私としてはTV版の方が好きだ。
映画版は、まだ少年編だけであり、私は、少年編を受けての大人編が好きだからかもしれない。
続きを読む IT/イット “それ”が見えたら、終わり。