実践ポジティブ心理学

実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書)心のあり方についての斬新な仮説「脳はなぜ『心』を作ったか」の作者によるポジティブ心理学の紹介である。
著者は、ロボット工学の専門家だったが、進化心理学からポジティブ心理学まで幅広い分野を対象としている。

まず、ポジティブ心理学の歴史を紹介している。
その中では、「楽観比率」と「友達の数」の研究が面白い。

「楽観比率」とは、ポジティブ感情対ネガティブ感情の比率が3対1であれば、人生のあらゆる面が好転していくという研究である。
「友達の数」は、友達の数が多いほど幸せな傾向があるが上限がある、という研究である。
ひとりの人間が人間関係を結べる限界の人数は150人ほどだと言われている。
SNSでは簡単に150人以上と関係を結べるが、人間の限界を越えているため、幸せに繋がる関係ではないと考えられる。
また、狭く深い関係よりも、幅広い関係のほうが幸せに寄与すると思われる。

幸せの条件として、セリグマンの「PERMA」がある。
「PERMA」〜幸せのための5つの条件〜
・Positive Emotion(ポジティブ感情)
・Engagement(エンゲージメント。没入)
・Relationships(関係性)
・Meaning(意味・意義)
・Achievement(達成)

また、ストレスからの自発的治癒力であるレジリエンスも重要だとされている。

著者は、日本人のためのポジティブ心理学を確立させるために、独自に調査を行い、日本人のために「幸せの4つの因子」を提唱している。
日本人は、これらの因子を満たすことで、幸せを感じる。

幸せの4つの因子
第1因子:「やってみよう!」因子(自己実現と成長因子)
第2因子:「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
第3因子:「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
第4因子:「ありのままに!」因子(独立とあなたらしさの因子)

日常生活にポジティブ心理学の研究成果を活かし、幸せに生きる具体的な方法もいくつか紹介されている。
著者はこれを「ハッピーエキササイズ」と呼んでいる。
中でも手軽で面白そうだったのは、以下の2つである。
・寝る前に、「3つの良いこと」を書く。
 有名な方法で、実践した人によると、効果は必ずある、ということだ。
・「ない」と困るものの引き算。
 携帯電話、財布、パソコン、テレビ、電車など、「ない」と困るものを使わないことにして、新しい気づきを得る方法である。

著者は、ポジティブ心理学の方法を社会に活かす方法を模索している。
人を幸せにする製品や都市開発などである。
村おこし的な胡散臭ながないこともないが、心理学の社会貢献としては、良い方向性だと思う。

マインドフルネスの実践法のひとつにマインドフルネ・イーティングといって、時間をかけて干しぶどうを食べるというワークがあります。
干しぶどうを食べるときに、これが一生で最後の食べ物だと思って味わって食べると、食べている間中、今ここに集中しながら、頭の中を整理している状態にあるので、食べ終わった後は頭の中がすっきりします。

しかし、繰り返しますが、幸せは原因にもなります。幸せを最終目的にするのではなく、まずは小さくてもいいから幸せな心をつくっておくと、次々にいいことが訪れるようになります。

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