ライフシフト

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)「100年時代の人生戦略」と銘打った本書だが、人生100年と言われても、いまひとつ実感がない。
ところが、本書のなかで、今の子供たちが100歳まで生きる確率は、統計的に50%だといく記述を読むと、俄然現実味が増してきた。
長寿化は厄災か?恩恵か?
年金のことを考えるとネガティブなイメージしかないが、本書では恩恵であるというスタンスで書かれている。
しかし、過去のロールモデルはお手本にならない。
新しい生き方を模索する時代になってきた。

本書では、サンプルとして1945年生まれ、1971年生まれ、1998年生まれの3人の人物をモデルに、死ぬまでの生き方が語られる。
1945年生まれの人は、今までの3ステージ(教育、労働、引退)のスタイルで逃げ切れるが、1971年生まれ、1998年生まれの人には新しい生き方が必要になる。
本書でいうマルチステージの生き方である。

一番最初に語られるのは、お金の話である。
毎年所得の10%を貯蓄し、引退後は現役時代の50%相当で暮らすとした場合、何歳まで働く必要があるか、というシュミレーションである。
この計算によると、やはり、これからの時代は、80代まで働かなければならないようだ。

健康寿命が伸びることで、働ける期間も長くなる。
しかし、環境の急激な変化で仕事も変わるので、いままでのように過去の資産で食いつなぐことは難しい。
新しい仕事のスキルを何度も学び直すことになる。
仕事を辞めて、次の仕事のために投資する、という実験を繰り返す必要がある。
このような生き方には、個人のアイデンティ、選択、リスクが重要になる。

今までの単純な3ステージではなく、次のようなステージを何度も繰り返すのが、これからの生き方だと本書では提唱している。

エクスプローラー
周囲を見て、探索し、自分の好みと得意を発見する。

インディペンデント・プロデューサー
専門知識を身につけ、生産する独立生産者。

ポートフォリオ・ワーカー
異なる活動を同時に行う。
金銭的資産を増やすと伴に、可能性、刺激、学習、社会貢献を追求する。

現状からはイメージが難しいが、80歳まで働き続けるには、主体的な変身が必要なのだろう。

本書では読者が長寿化を厄災ではなく恩恵ににするために、どのように人生を築くべきかを考える手引きをしたい。

長寿化の恩恵に最大限浴したければ、70代、ことによると80代まで働かなくてはならない。それが厳然たる事実なのだ。

人々は人生で移行を繰り返す結果、生涯を通じて高度な柔軟性を維持するようになる。
進化生物学と言うネオテニー幼形成熟のようなものだ。
これは、動物が幼体の性質を残したまま成体になることを指す言葉である。
それと同じように、大人になっても思春期的な特徴を保ち続けて、高度な柔軟性と適応力を維持することにより、一定の行動パターンにはまり込むのを避けるのだ。

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